「本物の金融教育」とは、単に金融商品を説明したり、お金の計算方法を教えたりするだけにとどまらず、個人が経済的に自立し、豊かな人生を送るための意思決定ができるようになるための総合的な学びだと考えます。

具体的には、以下の要素を兼ね備えているものと定義しています。

1.知識の習得と実践への応用

基礎知識の定着

預貯金、投資(株式、債券、投資信託など)、保険、ローン、税金など、金融に関する基本的な用語や仕組みを正しく理解すること。

リスクとリターンの理解

どのような金融商品にもリスクとリターンがあることを認識し、自身の許容度に応じた選択ができるようになること。

実践的なスキルの習得

家計管理(予算作成、記録、見直し)、資産形成の計画立案、情報収集と分析、詐欺からの自己防衛など、実生活で役立つ具体的なスキルを身につけること。

2.健全な価値観とマインドセットの醸成

お金に対する健全な価値観

お金は目的ではなく、人生を豊かにするための手段であるという認識を持つこと。

長期的な視点

目先の利益だけでなく、将来を見据えた資産形成の重要性を理解し、忍耐強く取り組む姿勢。

情報リテラシー

あふれる金融情報の中から、信頼できる情報を見極め、批判的に分析する能力。

自己責任の原則

自身の金融行動の結果は自身に帰属するという意識を持ち、安易な他社異存をしない姿勢。

3.社会的・倫理的視点

社会とのつながり

金融が社会全体に与える影響や、持続可能な社会を実現するための投資のあり方など、広い視野を持つこと。

倫理的な行動

詐欺や不正行為に加担しないだけでなく、金融に関する意思決定が他社に与える影響も考慮すること。

4.生涯にわたる継続的な学習

金融市場や経済状況は常に変化するため、一度学んで終わりではなく、生涯にわたって学び続け、知識を更新していく意欲と能力。

これらを踏まえると、「本物の金融教育」とは、単なる知識の詰め込みだけではなく、個人が金融を通じて自らの人生を主体的にデザインし、変化する社会に適応しながら、経済的な豊かさと精神的は充足の両方を追求できる力を育むものと言えるでしょう。