お金の教育、あなたは大丈夫?

現代の子供たちを取り巻くお金の環境は、とても変化してきています。
キャッシュレス決済の普及、オンラインゲームの課金、SNSでの金銭トラブルや、インフルエンサーの影響など、子供たちがお金に触れる機会やその性質が大きく変化しています。
 
昔と今のお金に対する価値観は、大きく変わってきているため、デジタル化が進む現代において、小さい頃からのお金の教育は、より一層必要になってきています。
 
お金の教育は、単に知識を教えるだけでなく、子供の金銭感覚や価値観を形成する上で不可欠です。

「子供がスマホゲームに高額課金してしまった」「お年玉をすぐに使い果たしてしまう」など、具体的な事例を挙げればキリがないですが、お金の教育が不足していると、将来的な貧困や、金銭トラブル、最悪、親御さんを巻き込んで、自己破産などしてしまう可能性もあります。そうなると、ご自身たちの老後も、危うくなりますよ?

特に、キャッシュレス決済による子供の金銭感覚の狂いは、とても深刻です。
現金と違い、お金が減っていく感覚を感じにくいため、消費行動に影響を与える可能性が大いにあります。
 
なんども重複しますが、「行動経済学」の分野では、人は支払いの際に「痛み」を感じることで、消費を抑制するという考え方があります。
現金での支払いは、この「痛み」を感じやすい行為であり、結果として支出を抑える効果があると考えられます。(書籍/論文:ダニエル・カーネマン氏、リチャード・セイラー氏)
 
電子マネーやクレジットカード決済は、この「痛み」を感じにくいため、より多くのお金を使ってしまう傾向があるという研究結果が様々な研究機関から発表されています。具体的な数字としては、クレジットカードでの支払いは、現金での支払いに比べて、平均で12~18%支出が増加するという研究結果が存在します。
電子マネー決済に関しても同様の傾向が見られ、特に若年層においては、現金感覚の欠如から、より高額な商品を購入しやすいというデータもあります。

その他にも、例えば、数百円の物を買う時、お財布に1万円しかない。そんな時は、なんだか崩すのがイヤで消費を我慢する。なんてことないですか?人間は、「持っていたものが、なくなる」ということに対し、とても強い嫌悪感を抱きます。
 
それを専門用語で、損失回避(Loss aversion)といいます。損失回避とは、行動経済学や心理学における概念で、人は何かを得る喜びよりも、何かを失う痛みの方を強く感じるという傾向を指します。
つまり、同じ金額であっても、得られる利益よりも失う損失に対して、より大きな感情的な反応を示すということです。

この損失回避の傾向は、様々な場面で私たちの行動に影響を与えています。
例えば、投資においては、利益確定よりも損失確定を避ける傾向や、既に持っているものを手放すことを嫌う保有効果などが挙げられます。
また、「本日限り!」「数量限定!」といった言葉に弱いのは、「お得な機会を逃したくない」という損失回避の心理が働いているからです。

損失回避は、人間の心理に深く根ざした現象であり、私たちの意思決定に大きな影響を与えていると考えられています。
この感覚がマヒしてしまうと、通常よりも大きな損失に対しても、あまり恐怖心を感じにくくなってしまうのです。